連載「明日の選択肢を変えるAgeTech!」では、アクティブチョイス世代の明日が変わるかもしれないAge Techの事例をご紹介します。日本最大のメディア総合イベントであるInterBee2025からお届けします。第三回は想いを届けるテックが搭載された鳩時計!
離れて暮らすあの人に、想い“だけ”を運ぶ鳩時計
離れて暮らす親へ、子供へ「元気かな?」「寂しくしていないかな?」と思いながらも、なかなか時間がとれなかったり、せっかく電話しても直接話すことによって逆にケンカになってしまったり…。余計な言葉はいらない、“ただ想っています”の気持ちが届く鳩時計『OQTA Heart Poppo』。新しいのにどこか懐かしい、感情とテクノロジーが融合した“エモテック”アイテム”。そんな、ウェルビーイングを高めるテクノロジーにも注目が集まっています。
鳩時計といっても時刻では鳴きません。
スマホアプリのボタンをタップした数だけ、遠く離れたあの人の家に置かれた鳩時計が「ポッポ」と鳴る、ただそれだけ。言葉も文章もいらない、“想っています”を届けるコミュニケーションツール。
「心配して実家に電話をしたら謎のお説教が始まり、コミュニケーションが面倒になることはありませんか?とはいっても親はもう高齢。何かしらのアクションをしなくては後悔する。そこで、言葉が邪魔、情報をカットして“想っているよ”ということだけを形にしたら、と考えて生まれたのが『OQTA Heart Poppo』なんです。余白、気配や情緒を届ける、日本的な発想ですね」と語るのは開発者であるinoree 代表・高橋さん。
魅力はなんといっても“返事を期待しない、一方通行のコミュニケーション”だという点。電話やSNSは便利だけれど、返信を気にしたり、タイミングを考えたりするストレスがありますが、これなら気軽に「今、あなたを想ってるよ」のサインを送ることができ、受け取る人もその想いを気兼ねなく受け止められます。実際、離れて暮らす親子や孫、介護施設に入居するご高齢者など、さまざまな家庭で「これまで言葉にならなかった想い」をつなぐ架け橋になっています。今までは頻繁に連絡のない子どもでも「ポッポ」の合図は毎日。受け取った高齢の親は「それだけで嬉しい」と喜び、親子共に心が和むという感謝の声も多数あるのだとか。


時計本体は軽く、Wi-Fiに繋ぐだけで使える手軽さも魅力。アプリをダウンロードすれば、ワンタッチで鳩を鳴らすことができ、8人まで登録可能。誰がどこから鳴らしたかを示す地球地図も表示され、家族の繋がりを“見える化”してくれます。なかには、時計に孫の写真を貼り、家族の一員として大切にしている愛用者もいるそうです。

今回訪れた“InterBee2025”では、その暖かいコミュニケーションが高く評価され、INTER BEE AWARDにノミネート。そんな幸せのコミュニケーション=バイブスに共感した愛用者が自作のTシャツを着用してPRするなど、共鳴の輪が広がっていました。
親子の距離感を“適温化”させてくれるテクノロジー
親子関係は良好に保ちたいけど、いくつになってもうまくいかないことが多いと思います。子からすると連絡することで親を安心させたいけど、耳が痛い話をされるから避けてしまったり。親からすると子供に迷惑はかけたくないけど、ついつい愚痴や小言を言ってしまったり。関係性が近いからこそ、言葉で交わすコミュニケーションは最適な距離感を保つのが難しい。Inoreeは会話せずに想いを伝えることができるため、送る方も、届く方も心がほんのり温かくなり、いわば親子の距離を適温に保つテクノロジーとなりそう。日常的にInoreeを介したやり取りを行えば、言葉を介したコミュニケーションも、よりポジティブなものになりそうだと思いました。
年齢にかかわらず、“大切な誰かを気にかける心”を形にする。人生をより豊かにつなげてくれる…そんな優しく温かみを感じさせるテクノロジーにも今後は注目したい。
▶Inoreeの詳細はこちら
https://oqta.com/
Text 安並まりや

安並 まりや
株式会社 博報堂
新大人研
博報堂という広告会社で、新大人研という50代以上の生活者に関する調査・研究やマーケティング支援を行っています。





























