連載「明日を変えるAgeTech!-CES編-」では、アクティブチョイス世代の明日が変わるかもしれないAgeTechの事例を世界最大級のテクノロジー見本市であるCESからお届けします。
今回は、誰もが毎日必ず行う「トイレ」の時間を活用した、最新のヘルスケア最前線
をお届けします!

「測る」ストレスからの脱却

健康寿命を延ばすために、日々のバイタルサイン(血圧や心拍数など)を計測することは非常に重要です。しかし、スマートウォッチを毎日充電して身につけたり、専用の機器をわざわざ引っ張り出してきたりするのは、「面倒くさい」「忘れてしまう」といったハードルがありました。
今回のCESで注目を集めていたのが、意識的に「測る」行動を必要とせず、日常生活に完全に溶け込んだヘルスケアデバイスです。その究極の形とも言えるのが、「トイレで用を足すだけ」で完了する健康管理。
“排泄物は、体の中からの最も正直なメッセージ”。そんな視点から生まれた、二つのユニークなプロダクトをご紹介します。


【アメリカ】いつもの便座が専属ドクターに? 後付けセンサー「Toi Labs」

1社目は、アメリカの「Toi Labs(トイラボ)」です。

見た目は、ご家庭のトイレに後付けできる「取り外し可能なウォシュレット(温水洗浄便座)」のような形状をしています。最大の特徴は、この便座に「視覚的なセンサー」が内蔵されていること。使い方は驚くほどシンプルで、ただ普通にトイレで用を足すだけです。排泄物をセンサーが自動で測定・分析し、その日の健康データをアプリ等で管理してくれます。採尿コップを使ったり、ボタンを押したりする手間は一切ありません。 アメリカやイギリスではすでに老人ホームを中心に導入が進んでおり、日常的な健康モニタリングや異常の早期発見に役立てられています。そして今後、いよいよ日本への導入も予定されているとのこと。実家のトイレにつけておくだけで、遠く離れた親の健康状態をそっと見守る、といった使い方も期待できそうです。

【日本】尿をかけてスマホで撮るだけ! 栄養状態が見えるVivoo(大塚製薬)」

2社目は、日本から大塚製薬が展開する栄養モニタリングサービス「Vivoo(ビブー)」です。

こちらは、尿をかけた専用のストリップ(試験紙)をスマートフォンのアプリで読み取るというもの。Toi Labsと同様に「視覚的センサー(カメラによる画像解析)」の技術を採用しており、たったこれだけの動作で、日々の食生活に欠かせない6つの項目の栄養状態などをその場で測定できます。

さらに素晴らしいのは、測定結果に合わせて、管理栄養士が監修した「食や生活習慣のアドバイス」がパーソナライズされて提供される点です。大塚製薬はこれまでも「ニュートラシューティカルズ(栄養:Nutrition + 医薬品:Pharmaceuticals)」の領域で長年の研究実績を持っています。このVivooを用いて、一人ひとりの状態に合わせた栄養アプローチが健康行動にどう変化をもたらすかを探求しており、科学的根拠に基づいた健康的な生活習慣のサポートを実現しています。

*このテクノロジーは明日の選択肢をどう変えるのか?

尿は身体の今を教えてくれる、最も身近な健康レポート

毎日何気なく流してしまっている尿や便ですが、実はこれらは体からの重要なメッセージの宝庫です。

  • 排出(Detox): 不要なものを捨て、血圧と体液のバランスを整える。
  • 信号(Signal): 水分不足や栄養バランスの乱れをいち早く警告する。
  • 予知(Prediction): 未来の深刻な病気の兆候を早期に知らせてくれる。


加齢とともに、日々の体調変化には敏感になりたいものですが、病院での定期健診だけではカバーしきれない「日常のすき間」が存在します。
これらのテクノロジーを活用し、日々のサインを「意識すること」は、自律的な健康管理(セルフケア)の質を飛躍的に高めてくれます。「わざわざ測る」のではなく「ついでに測れる」技術が、私たちのアクティブで健康な毎日を、トイレの中から静かに支えてくれる未来はもうすぐそこです。

▶詳細はこちら
Toi Labs:https://www.toilabs.com/
Vivoo:https://www.otsuka.co.jp/nutraceutical/products/vivoo/

Text 小林 里帆

小林 里帆
株式会社 博報堂
データやコミュニケーションの手法を駆使しながらクライアントの事業成長の支援を行っています。